2016年10月26日水曜日

ヒノキはすごい

いよいよストーブの季節がやってきました。

薪ストーブ愛好家にとってシーズン初の火入れは楽しみの時ですが、その一方で薪の問題も気にしています。
マメな人は数シーズン分をストックしていますが、涼しくなってから慌てて準備に入る人もいます。私は後者です。

そんなわけで、先日、創の現場から残材をいただいてきました。
建築の残材なので、杉やヒノキの板材など細かいものが多いのですが、ストーブ着火時にはとても重宝します。

カゴいっぱいに板材や角材を積み込み、車に乗ると、改めて気づいたことがあります。
それは新材の香りの心地よさです。
車内は密閉されるし、気づかないうちにイヤな臭いがこもりますが、それが一気に解決。清々しい空気に満たされました。

中でも素晴らしいのがヒノキの効果です。
ヒノキの香りはよく知られていますが、それには抗ウィルス、抗菌作用があるほか、緊張やストレスの緩和、メンタル面のリフレッシュ効果もあるそうで消臭剤に最適。市販の芳香剤のような不自然さもなく、断然オススメです。

香りが弱くなってきたら、ノコギリの刃を少し入れれば、また強い香りがします。
そんなわけで、クルマにヒノキの残材を積んでいます。おかげでドアを開けるたび清々しい香りがします。

試してみたいと思う方は、創までお問い合わせください。
残材が出るタイミングで、足を運んでくれればお分けします。





2016年10月20日木曜日

どうちらにしますか?


あっちを立てればこっちが立たない。
とかく家づくりは、どこまで進んでもどっちを選ぶかという選択が付いて回る。
いま、家づくりを進めている方も、過去にした方もそう思うのではないでしょうか。

わかりやすい例でいうと、土地選びがそうです。
利便性を選ぶか、または自然環境を選ぶか。
もちろん尺度は人それぞれなので標準化するのは難しいですが、土地選びではどちらを重視するかという状況に直面するでしょう。

もう少し進んだ段階の例を挙げると、プライバシーと解放感や熱効率のどちらを重視するかという問題も生まれてきます。

間取りを考える場合、家族ぞれぞれのプライバシーを重視するなら個室を壁で仕切ればいいのですが、すると、解放感や熱効率は悪くなります。
ですが、居室の仕切りをなくすと解放的になるけれど、宅内の音問題も発生してきます。

創で使う断熱材「セルロースファイバー」は、気密と断熱に優れ、同時に防音性にも優れます。つまり宅内の音を外に漏らさず、外の騒音も室内に伝えにくい。
ですが、防音性が高いゆえに宅内の音が響きやすいという状況になります。
開放的で、熱効率のために間仕切りを少なくしたけど、家族の生活音が思った以上にうるさくて落ち着かないということにもなりかねないのです。

というわけで、家づくりはいろんな角度からじっくり考えることが必要です。
または家づくりを済ませた先輩たちに聞いてみるのがベストかもしれません。



2016年9月27日火曜日

床の間のこと


前回に続き、和室のことを考えてみます。

昔の家には必ずあった床の間のことです。
最近は人気がありません。木組みの家を得意とする創でも、あまりオーダーを受けることがありません。

理由はスペースを必要とするから。また仰々しいから。そして和の雰囲気が強くなってしまうからでしょう。機能的な空間ではないだけに、いらないと言われれば強く勧める理由も見つけづらいのです。しかし、様式に沿ってつくれば和室はぐっと格調高いものになるはずです。

床の間の飾り方の基本は、壁中央に掛け軸を飾り、床は左に花立、真ん中に香炉、右に燭台を置きます。このルールは、和室の原型である書院造が、鎌倉時代の僧侶の書斎兼居間だったことに由来するんだそうです。
また祝い事がある場合、物の配置で気分を表現する手法もあるそうです。

ちなみに和室には方向があることも覚えておきましょう。
床の間に対し畳の短辺が当たるように敷くのはNG。「床挿し」といって、切腹を連想させるので忌み嫌われます。または床の間に向かって正座した場合、畳の目と床の間が平行だと立ち上がるときに膝が滑らず動作も滑らかでなくなるという理由もあるそうです。

やはり和室をつくるなら、様式をしっかり知っておきたいですね。



2016年9月26日月曜日

どうする和室


お宅に和室はありますか?
これからの方、和室はつくりますか?

と、ここで、これからの方に大胆な提案です。
「あれば使うかも」とか「雰囲気がいいから」とか「見栄え的に」、
といった積極的でない理由で和室をつくるつもりなら、いっそ和室はやめませんか?

いえいえ、和室をなくしたほうがいいというのではなく、むしろ和室をちゃんとしたほうがいいと思うのでこんな言い方をしました。

よくマンションなどで洋室と和室が続き間になっています。他に寝室がないなら仕方がないとして、洋室と和室をつなげるなんて、ほとんど意味がないように思われます。
また戸建でも、配置をあまり考えず客間として和室をつくっても、ほとんどが物置部屋になったりします。

こうした原因がどこにあるかというと、和室をちゃんと落ちつける空間にしてないからだと思います。
では和室を落ちつきのある空間にするにはどうすればいいか。

まず、和室にカーテンはやめましょう。やはり障子です。目的に合わせ、月見障子か雪見障子を選ぶのも大切です。
次は照明。天井の照明はやめて床置きにするのがオススメです。その方が断然落ち着いた雰囲気になります。

そして、配置はなるべく家の奥にした方がいいでしょう。「奥に通す」と言いますが、言葉通りにした方が落ち着きが増します。
また、入り口も襖が全開になるようなオープンタイプではなく、半間幅くらいで奥の方にある方がいいでしょう。茶室のにじり口の考え方です。

やはり和室は、家の中でいちばん落ち着く空間であるべきです。
つくるならその役割を存分に発揮させましょう。




2016年9月21日水曜日

再びテーブル問題 


前回は、ダイニングテーブルと椅子の「差尺」について紹介しましたが、じゃあ、テーブルの大きさはどうすればいいのか?

いちばん多く見かけるのは4人用のテーブルですが、その大きさは約1500mm×800mmくらい。6人用となると約2100mm×900mmくらいが一般的なようです。

ちなみに食事のために必要なスペースは、ひとりあたり幅600mm、奥行き800mm程度と言われます。二人並べばそれだけで幅は1200mm。幅1500mmのテーブルでは300mmの間隔ができる計算ですが、食卓には各々の茶碗や皿だけでなく、大皿も並ぶし、調味料も置かれます。そして何より、人により体格が違うし、動き方も様々です。
つまり4人だから1500mm幅のテーブルでOKではなく、最低1500mmなければならないと考えましょう。

と、ここで提案ですが、ダイニングテーブルを食事のためだけに使うのではなく、多目的に使うことを考えて、極力大きなテーブルにするのはどうでしょう。

4人家族だけど、テーブルは8人用にするとかです。
家族みんな肩寄せ合っての食事もいいですが、4人ギリギリのスペースで食べるより、ゆとりがあった方がゆっくり落ち着いて食事ができるはずです。

また、毎日家族が揃って食卓を囲むとは限らず、遅く帰ったお父さんが食事する側で、子供が宿題をしたりなんてこともあるはずで、そんな時は大きなテーブルの方が好都合なはずです。あるいはケンカしたばかりで並んで食事するのが気まずいなんて時にも便利です。

もちろんテーブルを大きくするには、それに見合う空間が必要です。
敷地に余裕があれば問題ないでしょうが、様々な制約の中で快適な家にするためには、あれこれ揃えようとしたり固定概念に縛られず、自分たちがどう暮らしたいかを考え、どこかに際立った特徴をもたせた方がいいかもしれません。




2016年8月24日水曜日

快適な食卓のために



家を新築するといろんな家具を新調しますが、選ぶときに特に気合が入るのがダイニングのテーブルと椅子ではないでしょうか。

ほぼ毎日使用し、家族みんなが同時に使い、体を預けるもの。
タンスに体を預けることはないし、ベッドはパーソナルなものだし、ソファ一つに家族同時に座ることはありませんが、ダイニングセットには様々な要求が課せられます。
だからダイニングテーブルと椅子選びはぜひ慎重に取り組みたいのです。

テーブルと椅子のセットを選ぶ場合、座って違和感がなければ問題ないでしょうが、テーブルだけを新調したり、テーブルと椅子を別々に揃える場合はそれぞれの高さが合っているかをチェックしなければなりません。

このテーブルの高さと椅子の座の高さの差は「差尺」と言いますが、この差はダイニングテーブルであろうと座卓であろうとほぼ一定で、270mm前後が快適に食事できる差尺と言われます。

差尺が300mm以上になると背伸びして食事しなければならない感じになるし、250mm以下になると窮屈になる。もちろんそれぞれの体格によっても微妙に異なりますが、快適な食卓の差尺は270mmくらいと覚えておけば間違いないでしょう。

写真のテーブルは創オリジナルのダイニングテーブルです。脚は鉄で造り、天板はタモの集成材にしましたが、天板は他の材料を使うこともできます。
また、石巻出身の家具作家がつくる『木のしごと樹々』のテーブル、椅子のオーダーもお受けしています。テーブルと椅子の高さも指定できるので使いやすさは折り紙付きです。






2016年8月3日水曜日

霧除け庇の役割


先日、創のブログで霧除け庇の仕上げについて紹介しましたが、今回は霧除け庇のそもそものあり方を考えてみたいと思います。

そもそも庇は、建物を雨や陽射しから守るためにあります。屋根や軒ほど構えは大きくなく、大きさや形によって呼び名も様々ですが、窓の上に設ける小さな庇は「霧除け庇」と呼ばれます。
最近のハウスメーカーの家ではほとんど見かけないし、あまり目立たないので必要なのかと思いがちですが、調べてみると予想以上に重要な役目を持っていることがわかります。

創の家で最も多く用いられる霧除け庇の大きさは、壁面から先端までの出寸法で約200mm。これによりどんな効果があるかというと、太陽高度が最も高くなる夏至の時で、庇から約1100mm下まで陽射しを防ぐ効果があります。つまり一般的な大きさの腰窓をカバーするくらいの日除け効果があるのです。
これは雨の場合でも同じです。窓に叩きつけるような風雨ではそうはいきませんが、小雨なら確実に雨を避けてくれます。

霧除け庇の効果を最も実感するのは、窓の汚れを防げることでしょうか。
窓の下部分では汚れが目立っても、庇の真下、窓の上部分は汚れていなかったりします。




さて、この「霧除け庇」は、別に「眉庇(まびさし)」とも呼ぶそうです。
その名は武将の兜の一部分に由来するそうで、額のあたりに位置するつばをそう呼ぶそうです。ちょうど眉のように見えるからでしょうか。同じように家にとっても「霧除け庇」は、家の顔立ちを整える重要なアクセントとしての役割もあるのです。